はじめに
今のところ完全な対処方法は見い出しておりません。しかしあきらめないでください。会員の皆様の努力は貴重です。皆様の被害の軽減に役立つものもあると思いますので是非とも参考にしてください。
ハラスメント(嫌がらせ犯罪)入門書
(Harassment 101)
~嫌がらせ犯罪から生きのびるために
知っておくべき必須の教訓~
著者: GmB Bailey
6年間嫌がらせ犯罪に対処してきて、多くのパターンに周期があり、それが繰りかえされることがわかった。最初にあるいは2回目、3回目に冒した誤りと失敗から、その変化の度に自分は強くなったと思っている。その経験から他の被害者の方々に、それぞれの被害状況に幾分なりとも適切な対応が出来るよう支援するいくつかの教訓をお伝えすることが出来る。
わたしが経験した苦しみ、屈辱感、絶望感が決して無駄ではなかったことの手応えを感じたいのである。わたしの後から被害者になられた方々に、その人生の道程が少しでも生き易くなることを望んでいる。この被害を最初に受けた時にそれを予見する方法がわかっていたら、より効果的な準備が出来たかもしれない。わたしを守りわたしの権利を擁護するシステムが有効に働くべきであったのに、上手くいかずこの犯罪に巻き込まれてしまった。
これから説明する法則が他の被害者の行く道を舗装する手助けになればと願うし、わたしが辿りながら学んだ教訓が同じ道を行くあなた方に役立つであろうと望む。これらの簡潔な法則が暗闇の中の明かりとなり、あなたが旅しなければならない道のりに、その方法がはっきりと見えてくることを期待したい。この困難な人生を辿って行くあなたをわたしは支援したい。あなたはひとりではない。あなたより前からこの犯罪の被害を受けてきた方々、あなたの後から被害者になった方々も多くいる。わたしたちはお互いに助け合い、力を強化しなければならない。ここから、その具体的な教訓を簡単に述べていく。
1.法則は無いに等しい。
嫌がらせ犯罪の法則と謳っているが、その一つ目は、法則が無いことである。加害者たちは卑劣な加害行為を非常識の限りを尽くして浴びせてくる。一体何を目的としているのか?あなたに嫌がらせをするのが狙いなら、あなたは戦う準備をする必要がある。嫌がらせされているなら、その戦いに奮闘する準備をしよう。
2.嫌がらせ犯罪には力関係が絡んでいる。
学校、職場あるいは街の中においても、嫌がらせは力に関係する。加害者側は、あなたの力を奪いたいのである。あなたが自分の力、人間の尊厳、自尊心を手放さざるを得ないように仕掛けてくる。特定の状況や要求に対して、「ノー」と言えるあなたの能力さえも奪おうとする。嫌がらせの主体は、その力を誇示し、あなたを支配し、四六時中つきまとう。加害者は、あなたのプライドを傷つけ、人権を侵害し、法を犯し、あなたを思いのままに操れるという感覚に酔っている。あなたにこの件に関しては打つべき手段が何も無いのだ、と思わせたいのである。
3.理性を失ってはいけない。
「言うは易(やす)し、行うは難(がた)し」だけれど、理性を失ってはならない。踏みとどまらなければならない。あなたが 抑制を失ってしまったら、それこそ彼らの思うツボだ。ストレスに押しつぶされそうになったら、有給休暇を使うか、短時間の仕事に切り替えるか、1週間程度の病欠もやむを得ない。こういう時にこそ、嫌がらせ行為があなたの健康にどのような影響をもたらしているか、信頼できる医者に行き、証拠となる診断書を書いてもらおう。法律に関わる調査や行動も、同様に重要である。
あなたを嘆かせ、あなたに屈辱を与え、激怒させることができれば、加害者側が有利な立場になり始める。あなたの反応を得ることが出来れば、彼らは嬉しくてしようがない。どのような反応でもいいから、あなたの反応を得ることが目的なのだ。あなたの感情と行動を支配しようと躍起になっている。彼らはあなたの力を奪おうと執拗に迫ってくる。ここで力を彼らに渡さしてはいけない。だから、可能な限り理性を失ってはならないのである。
4.感情のゾンビになってはいけない。
苦痛や嫌がらせの現実に鈍感でいると、多くの場合、自分の周りで起こっていることに感覚が麻痺してしまう。被害に晒されている日常の緊張と苦痛に上手く対処しようとする有用な仕組みもあり得るかもしれないが、ただ無視したり、あまりにも鈍感になったりしないことが、重要である。加害者は、あなたを感情の無い死人のようなゾンビにさせることも、また狙っている。他人と交流するあなたの能力を殺し、犯罪主体と戦うに際して必要不可欠な判断力を持つのさえ難しくしてしまう。あなたの感情は、出来得る限り自分自身で守り抜こう。
5.記録を残そう。
これが、嫌がらせ犯罪への様々な抵抗の中で、最も時間とエネルギーを必要とされる作業である。ほとんどの場合、日常生活で嫌がらせ犯罪の被害が起きていることは忘れてしまいたいだろう。長い一日の仕事の後帰宅し、その日を振り返って記録を綴るなど、何かメリットでも無ければやり過ごしたいのはよくわかる。一番良いのは、小さなメモ帳、ホルダー、小型のノートパソコンを携帯し、嫌がらせに気づいた時にその場でメモを書く。その重要なノートや書類はそのあたりに置いたままにしてはならない。念のため、USBメモリーにバックアップを取っておこう。職場や学校に決して置き忘れたりしないように。メモを取ることで記録として確認できる。こうした地道な対応をしている被害者の発言は、機会を得た時に説得力のあるものとして真剣に考慮される。
6.一人か二人の医者に相談しよう。
自分自身を支えるためにも、証拠書類は必要である。嫌がらせ犯罪に巻き込まれて仕事や学校を休まなければならない時、医療従事者に診断書を書いてもらおう。証拠書類となる。受けている被害を自分自身で第三者に説明するのはなかなか難しいが、極度の疲労感、ストレス、不眠症、興奮、胃の不快感、打撲痕等の身体的疾患がなぜ引き起こされるのか、という疑問は伝えることが可能だ。ひとりで対処しようとせず、信頼できる医者や市会議員に説明を試みた方が良いだろう。そういう職業の人達は、将来の支援の拠り所となるばかりでなく、経験してきた被害の特殊性からあなたが耐えてきた苦痛を記録した足跡にもなるのである。
7.祈り、あるいは瞑想
さまざまな被害記録を読んでみてわかったのは、なんとか切り抜け耐え抜いてきたように見える生存者たちは、自分自身の外側あるいは内側の力の源となる何かをうまく活用することが出来た人達である。嫌がらせ犯罪よりも強い力の源泉。それが被害者をしてまでも生き続けさせている。多くの被害者は疑念を抱いたまま沈黙している。たった一人で解決しようとすべきではないこの時に。信念、信条、あるいは宗教、何でもいいからそれを利用しなさい。何も無いなら、夢中になれるものを探しなさい。あなたが生き残ろうとするなら、自分自身より大きな力の源泉を活用する必要性が迫っているのである。
嫌がらせ犯罪は、すべてのレベルであなたに食らいつき引き裂こうとしているのだ。感情、精神,信仰、健全であるはずの魂の存在までにも大きなダメージを与えてしまう。このような事が起きると、私たちは自分自身で強くなろうとする。でなければ、信仰さえも失ってしまうだろう。なぜなら、こんな事がよもや自分の身に起ろうとは誰も信じられないからである。この被害に遭う前あなたが持っていた信仰心,信念を手放してはならない。もしあなたが以前信じるものを何も持っていなかったら、この被害に覆いつぶされる前に無我夢中で集中できる何かを見つけなければならないかもしれない。わたしの個人的経験だけでなく他の被害者の経験に基づいてみても、あなたの魂がしっかりとしがみつき揺るぎないと保証出来る貴重な要素のうちのふたつは、信仰と希望である。日々被る違法行為と人権侵害を実感している時、ともかくもいつの日にかより高みにある根源的な力によって、加害者たちの罪には正義の鉄槌が下されるであろうという希望は、それを待っているわたしやあなた方に生き延びようと励ます要因の一つであることには違いない。
8.あなた自身の代弁者となろう
あなたは、自分の最高の表現者である。あなたの後ろで応援団が校歌を大合唱してくれるのを期待してはならない。誰かがあなたの味方になってくれるのを期待してもいけない。あなた自身が大使になろう。学校や職場が支持を表明してくれても、この犯罪被害にはなかなか風は吹いてこない。自分自身で弁護士、医者、カウンセラーの役割を自覚しよう。保健所や法律のプロが協力的であればいいが、そうとは限らない。あなたこそ、自分の最高の代弁者であり、最強の擁護者であるべきだ。嫌がらせ犯罪から自由になれる時代はすぐには来ないかもしれないが、発言と行動を続けていかなくてはならない。
9.前線兵士の精神力を持とう
あなたは戦争で戦っているのと同じである。肉体的な戦闘ではなく、心理戦上で戦いを強いられている。勝利するには、兵士のメンタリティーを有する必要がある。兵士たちは毎日今は優勢なのか劣勢なのか、殺すか殺されるのか冷静な判断力を持っている。生き残るには、この精神力が要求される。
10.自分の本能を信頼しよう。
自分の内なる声に耳を傾け、己れの本能を信じよう。自分を信じる術を学ぼう。いかなる戦闘においても、優れた武器と訓練が重要である。しかし、いかなる場面においても生き残る鍵は、自分の本能を信じることが可能なように常日頃鍛錬しておくことだ。多くの兵士は過酷な戦場で戦うために訓練され、最先端の武器も与えられる。しかし、自分の本能を信じることが出来るまでに学習してきた兵士のみが生き残るのである。
11. 犠牲者が何人出ても、真相は不明。
戦場の話から、あなたが窮している現実に戻ろう。あなたの名声、尊厳、友情、家族、仕事上の人間関係、そしてあなたの精神力、これらすべてが嫌がらせ犯罪の攻撃に晒される。初期のいくつかの襲撃で、多くの人々は生き延びることが出来なくなる。加害者はあなたに嫌がらせをしてくるだけでなく、あなたを守ろうとする大切な家族をも平然と狙い撃ちする。学校ではあなたの優秀な成績も貶められるだろうし、職場では、あなたの業績も打ち砕かれる。加害者たちはあなたの人気と人格に傷がつくように動く。あなたに関し,ひどい破壊的な名誉棄損をものともせずに噂をでっちあげる。あなたの尊厳を傷つけ、プライドをずたずたに引き裂く。嘘の噂を吹聴することなど平気でする。こん棒と石では骨を砕くだけだが、言葉の暴力はあなたを破滅させることが出来る。他人との信頼関係が根底から覆される。これが嫌がらせ犯罪なのだ。誰も信じられなくなる。あなたを怠惰な、頭のおかしい無能なだらしのない人間に見せたければ、加害者はそういう演出を徹底的にやるであろう。こうなると、真相は明らかにされずに犠牲者が続出する。覚悟しなければならない。今や混乱状態の瀬戸際にまで来ているのである。
12. 瀬戸際でも人間性にしがみつこう。
行動を起こさなければ何も変わらない。嫌がらせを無視していれば、加害者は増長する。あなたを何も出来ない取るに足らないものだと決めつけ、徹底的に人権侵害をし続ける。たいした人間でなければ、あなたの窮状を誰も気にかけなくなる。ここで、あなたは加害者たちに自分がどれ程の存在であるか思い知らせてやらなければならない。嫌がらせをされる時、あなたはそれを体験することで人間性を奪われかねない。それを重々承知の上、加害者はあなたの全てを知っているかのように人間性を破壊しようとする。しかし、諦めてはならない。追い込まれても人間性にしがみつけ。あなたは特別な存在なのだ、ひとりのかけがえの無い人間であり、価値観も持っている。この卑劣な犯罪が邪悪なものであると正しい判断が出来る。間違っていると確信しよう。
13. 嫌がらせ犯罪には周期があり段階的に拡大する。
嫌がらせ犯罪には周期があり、その時々の変化を経て拡大していく傾向にある。これは、無視していても無くならず、何かきっかけがあればその機会に乗じて強力になるという意味だ。加害者側は攻撃を強めても弱めることは決してしない。もしあなたが攻撃され始めた初期の段階に彼らを捕えていれば、嫌がらせを止めさせるチャンスとなる。例えば、彼らに侵略行為は止めろと強く出て、効果があった場合もある。被害の手記を出版すれば、彼らは、あなたが何も行動をせず泣き寝入りをするタイプではない、とわかるであろう。加害者たちは危害を加えることの出来る人間を,鵜の目鷹の目で探しているのである。犯罪者たちは支配可能な人間を喉から手が出る程欲している。なぜなら、誰かを生贄(いけにえ)にしなければ、自分たちの誰かが攻撃の対象にされるかもしれない。内部告発は絶対に出来ない仕組みになっている。それをしようものなら、自分の人生が破壊される。犯罪者として蠢(うごめ)く以外術が無いのである。あなたが嫌がらせから生き延びることが出来た場合でも、本当に最後まで生きることを全うしたいなら、安定は望めない。その時々頻繁に精神的な攻撃性を適応させることが必要となるであろう。
14. どうしたら脱出できるか?
嫌がらせ犯罪においては正しいか間違いかは関係なく、どうしたらこの被害
状況から抜け出せるかが全てである。加害者側は決して止めようとはしない。それどころか、正常な倫理観や法的基準など頭から無いものと決めつけて攻撃してくる。被害者たちはもはや何が正しくて何が間違っているかを判断している余裕などなく追いつめられる。この執拗な虐待から逃れる方法は現在のところ被害者の誰もが模索する他なく、わたしたちはお互いに助け合い、地道な抵抗活動を続けて行くしかないのである。強くなり、加害者に面と向かってあなたの力を示しなさい。絶え間なく襲ってくる攻撃に対し常に戦闘態勢でいるためには勇気を振り絞るしかない。行動を起こさず、泣き寝入りをすることだけは避けたほうが良い。行動を起こすことは嫌がらせを止めさせる自分の力を取り戻すことである。嫌がらせの被害に遭う前の自立に立ち帰ることである。長い間消極的であったとしても、抵抗の訓練は無駄ではない。始めは困難かもしれないが、あなたが自分で見つけた抵抗手法を実施していけば、手ごたえを感じるようになるだろう。やがては、嫌がらせを受ける前のかつての正常な精神構造の核部分を見つけ出すことも可能となるかもしれない。
15.怒りは有意義な行動に生かそう。
嫌がらせ犯罪に対する怒りは、様々な形をとるだろうが、無鉄砲に動いてはいけない。時間を割くことが可能なら、法律的整備を訴えよう。ブログに被害状況や自分の対処の仕方を綴っても良い。請願書、陳情書を書き関係機関に提出する手もある。怒りの感情が動機でも、自分の事態の改善に繋がれば意味がある。長い間嫌がらせをされるままの状態に甘んじることは、避けねばならない。あなたの情緒や身体だけでなく、人間として機能するべき能力にまで強く影響してしまう。虐待されてきた経験を熟慮し、あなたの精神の合図を見のがさず、その怒りを行動に移そう。
16. 決して単独で事を成してはいけない。
被害に対処しなくてはならなくなった時でも、決して一人で実行してはならない。常に身辺に大きな切迫した障害が存在するのだから、あなたは選択の余地はないと感じてしまう。地に足をつけ冷静でいることは難しいかもしれない。しかしこの局面を変えようと望むなら、対策が可能ないくつかの要素もある。 支援してくれる身内や友人を探し出そう。それに失敗したら、次はアドバイスをしてくれるような弁護士、医者、市会議員のようなプロフェッショナルにアプローチしよう。それも無駄足なら、様々なウエブサイトを調べ、信用出来そうな支援の輪にアクセスしよう。世界は広い。事象は刻々と変化する。いかに厳しく時間がかかったとしても、やがては、あなたの窮状を理解する人、あなたが体験している悲惨な状況に同情し共感してくれる人が見つかるであろう。だから、あなたの能力を少しでも生かす最善の方法は、決して単独で対応しようと思わないことだ。この犯罪はあなたの正義感が通用するようなものではないのだ。取り得る対策が一つしかない、などと考えてはいけない。諦めないで、どこかにあるはずの適切な助力、支援を探し求め続けてほしい。
17. 弁護士に相談しよう
犯罪者側はあらゆる法律違反を犯して攻撃してくる。弁護士に相談すると費用がかかるが、的確な法律的知識を持たずに事を進めるより費用対効果の側面からも長い目で見た場合メリットがある。高額な相談費用を出費しなくてもあなたに有意義な情報やアドバイスを提供してくれる専門家が存在する。慎重に選んだ弁護士の助言により、適切な段階を踏み正しい判断に向かう例もあり得る。それでも決して自分自身の力を他人の手に100%預けてはいけない。少なくとも、この分野に必要な経験を積んだプロの手引きは無駄ではない。医療で言うならセカンド・オピニオン、サード・オピニオンを聞いてから、と同じように、何人もの弁護士に基本的な意見を聞いてみよう。その中から有効な助言が引き出せれば、あなたが前を向こうとする励ましとなる。たった一人で耐えなけらばならない辛くきびしい体験につきまとう精神消耗を幾分かでも和らげてくれる。あなたが幸いにもあなたの立場と苦境に理解を示してくれるふさわしい弁護士を見つけることが出来たら、その時初めて、被害の実情を詳細に話してみよう。あなたの心理面情緒面にかなり良い効果をもたらすであろう。
18.テープレコーダーを持ち歩こう
小型のテープレコーダーのような録音装置を手に入れよう。嫌がらせを受けた時、どんな事を言われ、どんな会話がなされたのか、あとで思い出そうとするより、記録を保存することが容易に出来るメリットがある。人事部や部長や会議の発言者が話を捻じ曲げてしまうかもしれない。テープレコーダーを携帯し、的確な記録を保管しよう。あとから、もし加害者側が事実を歪めようとしたり、捏造しようとするなら、嫌がらせが発生した時あるいは彼らの悪事が実行に移された時の正確かつ具体的な記録として有用となるであろう。
19.ビデオカメラを用意しよう
街中でも自宅でも嫌がらせが発生した時の出来ごとを記録するためには、手頃な映像音声収録機すなわちビデオカメラが役に立つ場合もあるかもしれない。
20.ブログを始めよう
社会的認知を喚起するために被害状況の公表をすることは嫌がらせ犯罪と闘うに際し重要な要素となる。ホームページを立ち上げたりブログを始めるのは、あなたのまわりで起きている嫌がらせの残虐性を明らかにするわけで決して小さくは無い効果を生むであろう。
21.支援団体に入会しよう。
嫌がらせ犯罪に遭遇したら即、支援団体に加入することを勧めたい。同じような被害を経験してきた人たちがまわりにもいるのだと知ることは励ましになるし、精神的にも良い効果があると思う。支援団体に加入するのは良い対策だが、そこに頼り過ぎてもいけない。自分の戦う力を獲得する手段として利用し、被害者同士助け合い、この犯罪への理解を深めるのは良い。しかし、ある次元では自ら対処する力の源泉を見つけ出さなくてはならないのだ
前進を試みよう。
ここまで書いてきて、われわれが被害を被っているこの現象が決して新しいものではない、とわたしには思える。嫌がらせは様々な姿かたちをとり、常にまわりに存在した。現在進行形で変化している唯一のことは、実際の嫌がらせについてのわれわれの認識と反応である。その影響は特定個人にだけでなく、広く社会全体に悪影響をもたらしている。ちょうど今、その嫌がらせが断罪されるべき犯罪として深刻に顧慮され始めたところであり、社会全体に蔓延するのを止めなければならない限界を思い知らされているのである。
嫌がらせは決して単独で行われるものではなく、いかなる場合においても正常ではない。それは究極の悪だくみであり、恣意的であり、加害者側にとっては自慰行為的な卑劣な目的がある。今やわれわれの社会のすべての分野がこの疫病に冒されている。この嫌がらせ犯罪に対処するにあたり、適切な判断と行動指針の存立こそが重要なのである。それ以上に重要なことが、嫌がらせ犯罪被害に直面している特定個人にこの犯罪の断罪の権限の所有を自覚させることである。嫌がらせは大概にして表面化するし、組織的に行われ、広範囲に及んでいる。その実態を多くの人が 「嫌がらせ犯罪」として認識すればするほど、それに該当する被害者が増えてくる。そうなると、社会全体としてこの問題を正すチャンスを持てるかもしれないのである。
現時点での総論(2010年夏)
この拙著のために随分と調査をし実際に書き記しながら、全ての国境を越えた嫌がらせ犯罪の裏には、最初に想像していたよりもずっと明確な意図が存在していることを実感している。多くの場合嫌がらせ犯罪の形態は組織的である。積極的に発信する人、倫理観の高い人、内部告発者、論争に怯(ひる)まない人、あるいは自分の周りで起きている被害に正面から立ち向かおうとする人を排除するために、加害者側は卑怯な連携をする。抵抗反抗する力を有する人たちが、発言を封じられるか、強制的に精神病棟に入れられるか、自殺に追い込まれるか、殺害されるかした時には、抗議する者はもはや誰もいなくなってしまう。このような現象は、第2次世界大戦時のナチス・ドイツにおける独裁体制及びホロコースト(ユダヤ人迫害及び大虐殺)として歴史に刻まれている。加害者側組織は自立思考の人間、道徳観の高い人間を徹底的に排除し、イエスマンだけを適当に配置している。犯罪の実行に従わせ、真実に対しては目を向けさせないようにし向けている。どんな現象を引き起こしているかについては大衆の耳に届かないように決して証拠を残さないようにしている。現在、社会のあらゆるレベルあらゆる階層において、この犯罪がまかり通っているのだ。しかも大規模にである。本来なら悪事に対抗すべき統治機関、教育機関、政治、銀行、遠距離通信を扱う会社、軍隊など、健全に機能すべき主体が腐敗し、自己満足の状態に陥っている。平均的な人間にとってはあまりにも恐ろしくて声高に追及することなど難しい。今や、この嫌がらせ犯罪がある共通の目的のために、世界じゅうを圧倒的に席巻していると断定せざるを得ない。この現象を少しでも減少させるための唯一の方策は、可能な限りあらゆる次元の人々の認知を喚起する以外にない、手遅れになる前に。
著者紹介: GmB・ベイリー。アメリカ在住。
心理学に精通。ソーシャルワーカーとしてのキャリアも持つ。
著書に ‘ Bridging The Gap’ ‘Closing The Gap’ がある。