技術資料(海外)


新監獄コントロール・システム


出典:“An Appraisal of Technologies of Political Control”p52〜64
著者:スティーブ・ライト(Steve Wright)
翻訳:石橋輝勝


監視技術(surveillance)・地域的隔離技術(area denial)・監視および群集コントロール技術のような装置のうちあるものは監獄内および矯正刑務所内で既に使用されている。地域的隔離技術や剃刀のような鋭い鉄条網による境界線柵システム、小さな独房のついた囚人搬送車、そして標識装置(tagging equipment)等は仮の収容所として使われている。

  監獄は、しかし、監視員の日々の仕事からその行動までを含む全ての活動が、また建築物も含めて全ての物的環境が、コントロールという目的を考慮して機能的に作られた場所である。それゆえ上で議論された多くの技術が監獄の構造に組み入れられ、警察システムの一部をなしている。例えば地域的隔離技術、侵入者探知装置や監視装置は、厳重に守られるべき監獄を密封するのに役立っている。監獄の電動式扉や独房ドア、境界壁の鋭い鉄条網、そして監視ビデオ等すべてがこの目的のために使われている。

  もし暴動が監獄内で拡大したならば、上に述べた対暴動技術や戦術が監視員によって使える状態にある。この目的のために最小の戦力で効率良く対処すべく専門化された部隊(Minimum Force Tactical Intervention)が訓練されている。ヨーロッパ以外では刺激性ガスが暴動を鎮圧するためだけではなく、政治的抑留者を罰するため、あるいは死刑執行前に独房から出たがらない拘留者を追い出すために使われてきた。混乱を起こすと思われた者はだれでも更なる抑圧の対象となった。抑圧のタイプと種類はその地で一般的な基準と政治的状況に大いに影響された。肉体的な抑圧の道具は、一方ではストレートジャケット(手の自由を奪った服)やボディーベルトから、他方では親指打ちから足かせまでの範囲に広がる。最近監獄に関する国際監視団(the International Observatory on Prisons)は、いわゆるスペインでの囚人を特別扱いする登録制について批判した。それは長期に個別隔離されるものであり、拷問に対するヨーロッパ協定を犯すからである。

  他の方法は、スコットランドのインバーネスで採用された、独房の中に独房をつくような、しかも内部が露出し、けがを防ぐために壁に詰め物をした隔離部屋、ウェイクフィールド監獄で使われ今は廃止されているような隔離ユニット、ドイツのバーダーメインホフギャングの投獄に使われたトーテ・トラック独房(それは感覚喪失を演出するように計画されたもの)、あるいはペリカン湾の刑務所、カリフォルニア矯正刑務所で採用されているような750の完全孤立独房や3,000の最高保安独房などである。ペリカン湾監獄複合体は、その監獄が最も現代的なものの一つであったとしても、正当な責務の怠りが組織的乱用を拡大させた好例である。1995年に裁判官テルトン・E・ヘンダ−ソンは、ペリカン湾監獄が最も拷問がひどい場所の一つであり、監視員は拷問を無視するばかりではなく、監獄を管理し暴動を阻止する目的での特別な権力の行使を認める監獄運営マニュアルに従っていると述べた。裁判官は連邦地方裁判所の監視員が監獄内で囚人を警棒や高電圧のテーザー銃で襲撃し、一日22時間胎児のような状態に手首と足首を鎖締めしたと報じた。

  道具を使った抑圧とは別に、監督官は「リキッド・コッシュ(the liquid cosh)」として知られる、在監者を動けなくするための薬学的方法も行使できる。それは抗鬱剤、鎮静剤、精神安定剤のような向精神性(精神活動や行動・知覚に影響を与える)のものから強力な催眠剤まで様々である。英国の抗鬱剤やSeranace(?)のような薬の化学的効果はストレート・ジャケットを使用しているのと同様であり、監獄人口の増加が問題となっているときその使用は議論の的となっている。合衆国において、更正治療として罰を使う傾向は、パブロフの条件反射よろしく、アメとムチを使っての行動矯正が一般化されるようになった。恐怖と痛みを生じる筋肉弛緩剤(アネクタイン:南米では毒矢作りに、また生理学の実験、医薬などに使う黒みがかった樹脂状の物質からの派生物)のような薬が嫌悪療法として使われている。監獄内は新しい社会コントロール薬の試験場と化し、実際の囚人コントロールという意味合いでの使用は希薄になっている。矯正監獄は社会再建計画に使う次世代の薬を開発する新しい実験場となり、それによって大学と軍の薬学実験室は毎年新しい精神活性剤の根拠を供給できているのである。

  1970年代に戻って、合衆国国防省のJ.A.メイヤーは、取り外すことのできないトランスポンダーを使って、全米規模で仮釈放中の全囚人を受信機により監視するという計画を示唆している。この考えは仮釈放者の動きは継続的にチェックされるべきであり、またそのシステムは仮釈放者を特定の地域で定められた時間なら束縛から開放できるというものであり、しかるに囚人の衣類や食事の費用を削減できる有利さがある。もし囚人が逃亡したならば警察は自動的に彼らの最後に居た場所に向かうことができるのである。このトランスポンダーを利用した仮釈放システムは1980年代始めにアメリカの数カ所の民営化された監獄で始めて使用されたものである。このシステムは今やカナダやヨーロッパに広がっており、それは「電子標識(electronic tagging)」として知られている。電子標識システムの論理に抵抗することは難しいのだけれども、それが仮の監獄と成り得るとの主張は、犯罪学の観点から疑問であるとの批判がでている。投獄されるほど攻撃的でなく、より危険性の少ない犯罪者はほとんど社会に放たれるようである。この理由で、監督官は開放された囚人を監視する装置を必要とし、追加出費を得なければならず、決して安いものではないのである。しかし電子標識装置は売る側には利益の多いものである。またこれは合衆国の監獄でも利益のあるものである。特にアトランタ近郊のでデカルブ州監獄では全囚人をバーコード管理している。

  リリィ・ネッパ−は犯罪コントロール産業の国際状況を調査して、かつて軍に備品を納入していた会社の行動変化により注意が注がれるよう訴えている。冷戦終結によって、国防契約者の売上の減少が報じられ、新市場の調査の結果が一つの方向へと向かわせており、それが犯罪面であつても驚くことではない。以前外国との戦争で利益を得ていた会社は、そのエネルギーを、犯罪コントロール産業という新たなチャンスに向かって方向転換を始めたのである。合衆国の監獄民営化の動きにも我々は注目しているのである。しかし、その存在理由が、コントロール・システム導入により費用を削減できるという利益があったとしても、はたして民営化が囚人の更正過程を創造できるのかという批判があるのである。

  主としてアメリカからであるが、ヨーロッパの多くの国々でも法人の合併によって監獄の急激な民営化の過程を経験している。合衆国における民営化組織によって運営される監獄の多くはヨーロッパの慣習とは相い容れない文化とコントロール技術をもつ。この民営化の過程は、合衆国の囚人更正の考え方、方法、技術をヨーロッパに輸入する橋頭堡となり、そこには受け入れることができる慣習は何かの同意を確保する必要がある。しかし、そこには囚人の更正という長期の実りある実行というよりも、むしろ人間を倉庫に押し込んで、経費節減のみ果たされるという危険がある。

  ヨーロッパの数か国では、特にイギリスでは、刑法政策の変更から、監獄側に追加財源がないにもかかわらず、収容者の急激な上昇を経験している。これを科学技術によって対処するか、監獄の民営化によって対処するか、とにかくコストの切り詰めを迫られているのである。既に英国監獄監督庁はコンピューター購入リストを作成した。そのコンピューターは、オプションとして、地震計によって補完されるCCTV監視システム、人物認識鑑定技術、武器や薬物に照準を合わせることができる最新の赤外線システムが含まれている。実際英国の監獄はトラブル解消のため機器を整備しなければならない強い圧力に直面している。腰に付ける警棒やクボタン?、そして暴動楯等、95万ポンドから250万ポンドの契約によるこれらの武器の多くは1995年5月に監獄監督庁によって交わされたものであり、最初はアメリカで工業化されるようである。

  合衆国は北アイルランド以外のヨーロッパのどの国よりもはるかに軍事化された監獄体制を採用している。巨大な監獄産業複合体が、アメリカ矯正収容所を象徴する厳しいコントロール体制を維持するために、急速に発展している。将来、公共での、また議会での議論がほとんどなく、個々の技術が採用されることが予想される。合衆国監獄技術のいくつかの例とその増加はその危険を映し出しているのである。

  合衆国では現在多くの監獄で催涙ガスを使用している。更正備品としてその使用を認めてきた司法省と連邦裁判所はその乱用を確認した。例えば民営化されたテネシー・ディテンション・ファシリティでは、監獄の守衛が襲われた二つの監舎に催涙ガスを注入した。1994年に司法省市民権部局では、ニューヨーク州シラキュースにある群監獄を調査し、催涙ガスの過剰な使用を報告した。ほとんどの在監者が過剰な使用を訴えた。特に在監者が抵抗できないとき、拘束され危険がないときの使用であった。シラキュースのある自殺した在監者は、催涙ガス3本を使われ、直後に部分窒息で死亡した。合衆国連邦研究所は既に自動制御システムを市販している。それはコントロール室から目的とする場所に自動的に催涙ガスをまく装置である。

  合衆国の多くの監獄ではノバ電子5万ボルト楯、電気気絶棒、そして最近では反抗自動コントロール気絶ベルトを使用している。1994年に連邦監獄部では、囚人を移動するとき、あるいは出廷する時、逃亡の危険があると考えられる囚人に対して自動コントロール気絶ベルトを使う決定をした。1996年5月までにウィンスコンシン矯正省はもはや在監者がみな鎖で繋がれることはなく、気絶ベルトの使用や個人的拘束によって拘束されるであろうと発表した。オハイオ州クリーブランドのスタン・テック社では、アラバマ、フロリダ、ルイジアナ各州で、鎖で繋がれてする労働に換えて、この気絶ベルトが採用されることを望んでいると発表している。実際1996年までに合衆国保安官サービスや100の群機関はそのベルトを採用したと報告している。それはまたアラスカ、カリフフォルニア、コロラド、デラウェア、フロリダ、ジョージア、カンサス、オハイオ、ワシントン各州を含む16の州更正機関も同様である。

  スタン・テック文書によると、強く変調された気絶ベルトは300フィート(90メートル)遠隔から操作できるとする。警告音の後、このベルトは8秒間5万ボルトのショックを与える。強度に変調された電流は囚人の右腎臓部から入り、血管や神経経路に沿って体のなかに入る。それぞれの変調は急激な身体のショックを起こし、頭脳や中央神経システム全体に拡大する。メーカーは混乱を起こす可能性のある囚人に対して精神的優越を得るためにそのベルトを薦める。それを使われた囚人は膀胱や腸のコントロールを失う。その奇妙な仕掛けを腰の周りに装着したら、だれかの手でボタンを押されただけで、心理的立場からなにをしようと、排便や排尿を引き起こすのである。アムネスティ・インターナショナルは、ベルトが拷問のために使われることができるから政府にその禁止を要求している。そしてそれを「狂った非人道的堕落行為」と呼んでいる。ある高官はそれが監視員の削減によるコストダウンにつながることを指摘する。しかし人権活動家や囚人は野蛮状態における最高の野蛮の今日的証明であると反対する。しかし既に複数のヨーロッパの国でそれを採用しようとしている。

  合衆国連邦監獄省の主任警備官ジム・マーハンによると、合衆国全土で約101,000人の在監者を収容しており、81の監獄内で25%の過剰をきたしている。それに対し、17の新施設が建設中であり、10の民営化施設が建設されようとしている。合衆国監獄内の囚人の増加とそれに答える必要として、連邦監獄省は、人を殺傷することの少ない兵器の新たな研究開発の担い手となってきた。障害コントロール部隊は暴動を鎮めるために合衆国刑務所内で活動する特別な部隊である。マーハンは将来、現在使われている運動エネルギー兵器・化学兵器・電子兵器に加えて、アワかけ、封じ込めネット、反牽引装置?、麻痺させる小球、化学薬品拡散スプレー、音響装置のような音兵器、超低周波・超音波、低エネルギーレーザー、光学軍用品が必要と考えている。

  正当な免許の授与やヨーロッパでの監獄民営化に期待するものの明確な一致なしに、多国籍私企業監獄集合体は、ヨーロッパの犯罪コントロール産業に同様の技術を入れさせるための前進基地としての役割を果たすことができる。正しい制約がライセンス授与に必要とされるべきである。それは囚人一人当りのコスト面よりも、市民の自由、更正、危機管理で果たしてきたその会社の過去の足跡等を考慮して授与されるべきである。

尋問および拷問技術

  研究と発展の一千年は、不服な犠牲者から従順と情報を引き出すために、より気違いじみた、また非人間的な手段を使うことに、あるいはまた現状に挑戦し疑問をもつ者へ拷問のような痛みを伴いそれを長引かせて殺す方法等を考案するために使われてきた。それは最近では、囚人の反抗をすみやかに無くする方法の要求、科学的研究を基礎とした驚くべき方法の要求、痕跡を全く残さないか僅かしか残さない拷問の要求へと変化してきている。そしてそれらは特定の国家を拷問国家としてレッテルを貼るためにアムネスティ・インターナショナルのような組織が目をつけるものである。アムネスティによると、犯罪容疑者や、少数民族・移民者のような社会的弱者に対する拷問や険悪な扱いが強まる傾向にある。拷問の現象は今日世界的な流行となっている。 1995年の矯正条項による報告では、151か国で拷問、非人道的、堕落した扱いが行なわれていることを確認したとする。そのうち106か国が拷問条約に批准しているにもかかわらずである。

  現代拷問技術の出現はロシアのNKVDに遡ることができる。それは尋問者を交替して一日中流れ作業形式で質問攻めするその前に、ストレスを誘発するため感覚遮断や複数の野蛮行為を行なうものであり、正に国家的脅威の産業化である。このようなアプローチはショーとしての裁判が開かれている今日、公共での自白を引き出すために情報を引き出し個性を破壊するという複数の要求をもつ。このように強いられての自白と拷問の間には関連性があるのである。

  これらの技術は他の国で採用される前に、さらに研究され発展させることができる進化している技術である。全ての政治的コントロール技術のように、拷問技術はハードウェア、ソフトウェア、ライブウエア(人間的要素)の三要素からなる。それらは社会的政治的コントロールのプログラムを形成するために互いに組み合わされて使われるのである。ハードウエアは現代と中世の囚人の拘束、無能化、抑圧技術を含む。例えば足枷、親指平手打ち、吊るす道具は、国連の囚人処遇に関する最低限の標準規約によって禁止されているにもかかわらず、まだ生産されている。さらにそれは薬物を含む精神的外傷を誘発する方法へと広げられることができる。第二次世界大戦後、合衆国のチャッター計画では、薬物を使用して尋問者から意思に反して情報を得るための研究を行なった。この研究は朝鮮戦争の間に拡大され、実験室で動物や人間を使って行なわれた。外国での実験もプロジェクトの一部として行なわれた。後にそれはCIAのブルーバードあるいはアーティチョウクとして知られる計画へと拡大した。プロジェクト全体はMKウルトラあるいはMKデルタ計画の下で始められたものである。それらは人間の行動をコントロールするため、秘密に行なわれる実行計画に使うことができる、化学的、生物学的、放射線学的な物質の研究開発に関するものであった。行動変更に関するCIAの業績の多くは、殺傷性の少ない無能化させる化学物質の面に採用された。より最近では、スペインはバクー独立過激派ETAゲリラによる誘拐に対し、治安部隊を有利にするために、ホームレスを使って麻酔薬のテストをしたことが非難されている。

拷問ハードウェア

  他の拷問ハードウェアには、電気ショック兵器、電気による灼熱テーブル、鞭、ゴムの管に入った鉄の鎖、九尾の猫鞭、棍棒、ステッキ、特別に作られた拷問装置、人に聞こえない音を使った尋問部屋、ストロボフラッシュの赤外線光がある。これらの道具の多くは自然発生的にできたものであり、新しい技術のいくつかは目的をもって作られたものである。そしてそれは一つの拷問体制が転覆された後でも後継政権によって使われる可能性があるものである。例えばイランのシャー秘密警察SAVAKによって考案されたアポロマシーンは(それは体の敏感な部分に電気ショックを起こし、さらに頭にかぶせた鉄のヘルメットが叫びを増幅する)、次の政体の宗教警察によって使われた。

  拷問犠牲者の処遇に関する英国医療協会の責任者ヘレン・バンバーは電気棒が今日拷問に使われている最も世界的な道具であると述べた。拷問犠牲者の最近の調査から、連打した後の電気ショックの使用が最も一般的な方法の一つであることが確認された。アムネスティ・インターナショナルの各国報告を見れば、電気ショックによる拷問が抑圧国家では共通に行なわれていることが分かる。多くの使用例が、オーストリア、ギリシア、中国、バレンタイン、サウジアラビア各国から報告されている。アムネスティ・インターナショナルは50カ国にわたる電気ショックによる拷問と悪質な処遇に関する1990年からの記録を出版した。

  産業界によると、新しいパルス変調を利用した電気ショック兵器が医療研究を基に1980年代に開発された。それらは、手で持つ突き棒、電気的暴動楯、テーザー銃のような電気を通した投げ矢システムと様々である。電気ショック兵器は誘導コイルの原理で作動する。それらは犠牲者の筋肉コントロールに影響する高電圧低電流ショックを生じるため数1000倍の電圧を生じる電池で働く装置である。激しい痛みや一時的麻痺同様に、その兵器は両電極を行き来する激しい青い光により心理的効果を生じさせることができるのである。

  英国内務省により権限を委譲された英国法科学公社による独立した調査では、人体で相違する電気ショックがいかなる効果を発生させるか調査をした。英国法科学公社の研究は0.5秒までの放電で、犠牲者は飛び上がるように驚きはねつけ、1秒から2秒で立っていられなくなる。3秒から5秒で骨格の筋肉コントロールを失い、動けない状態になる。そしてその効果は5分から15分続くと報告した。英国法科学公社はまた現代の変調された電気ショック兵器は従来の家畜用のものより約2倍強力であると報告した。

  携帯用電気暴動楯は囚人を捕らえコントロールするために1980年代から生産されている。それらは細長い金属が組み合わされた透明なポリカーボネイトの板よりなる。ボタンはハンドル内の誘導コイルを活発化し、40,000〜100,000ボルトの孤光を金属片に生じ
させる。それは断続的な藍色の火花と電極の間の空気がイオン化するとき起こるパチパチ音を伴う。それらは充電することにより働く。そして自動的に蓄電器を放電させ、高い衝撃ショックの連鎖を引き起こす。販売ビデオはいかに犠牲者が即座に衝撃で投げ出され完全に無能化させられるかを示した。

  この商品は安全であると生産者は言うが、その解釈は様々である。テーざー銃とショック楯の両者による死亡が報告されている。このような装置の安全性を正当化するため、電気ショック兵器を生産する会社の専門家の一人は、その報告に反駁した。しかしそこには政治的文脈を考慮する必要がある。

拷問ソフトウェア− 

  ハードウェア−とは別に、拷問ソフトウェア−の要素を形作るおびただしい数の標準的方法がある。独裁体制で適用された訓練の例として、反対者を逮捕し、抑圧し、軟渋化させるために使われる訓練、深い尋問の科学的方法、および人間を破壊するまでのより野蛮な方法の教授を含むコンサルタント、技術援助を含む。

  現代拷問技術における研究と開発は、痕跡を残さない拷問方法の開発に集中してきた。しかしながら拷問被害者を回復させる研究者は拷問が行なわれたことを探知し証拠立てるより優れた方法を開発してきた。

  拷問の方法が大進化を遂げている。これらの技術の名称がいかにその研究が組織化されているか示している。ある拷問国家では独自の拷問用語集を作成したほどである。例えば中国がその適例である。同様の一般化した拷問技術が1970年代にラテン・アメリカで出現した。

  現代抑圧技術の傾向は、報復テロや、戦争ではないそれほど激しくない闘争を管理するための専門技術を含む。これらの方法のいくつかは公式にコード化されている。例えば1997年1月、情報公開法の下に、CIAの人的能力枯渇訓練マニュアルが暴露され、CIAはそのような方法は教えていないとの訴えたが、破壊活動家と疑われた者に対する拷問が暴露された。

  激しい尋問方法は、特にそれらが精神薬理学あるいは感覚剥奪行為を基礎とした科学的方法と合体するか、肉体的脅威を与えるものにかかわったり、抵抗する囚人の意思を弱らせる脅しによる軟柔化にかかわるとき、拷問と近似することになる。人間の精神を破るためのこれまでにない強力な技術開発の結果は、標的の精神的衰弱、依存心、大きな恐怖を飢え付けるため計画された効果のある昔からの方法である。時たまそのような研究の証拠に光が当てられてきた。北アイルランドの場合、BSSRSメンバー、ティム・シャリスは、科学的方法論による尋問を受けた最初の人物とみなすことができる。それは1971年に北アイルランドでの最初の一斉抑留に使われたものである。マックガーフィンによると、シャリスは感覚剥奪技術と、狙われた被験者がモルモットとされるような実験が関係した、選ばれた被験者のみ受ける特別な扱いをされたケースと鑑定できるということである。

  北アイルランドでは1958年のヘブ、1959年のスミス・とレンスキー、1959年のリリー、1955年のズベックとソロモンなど感覚的隔離技術の開発者の功績は、痕跡を残さず強烈でしかも衰弱させる新しい拷問の形式を創造するために英国陸軍によって利用された。
へブは実験の後、ボランティア−が感覚を失ったこと、宣伝の影響を受けやすくなつたことを発見した。我々は、逮捕に徹底して抵抗する状況において、これらの技術によって生じる不安は被疑者の思考過程を大混乱させるので、彼らを善悪どちらの行動にも走らせることができると結論する。リリー、スミス、レンスキーの感覚剥奪実験の結果は、自己認識、現実感覚、方向感覚それぞれの能力の喪失であることを示した。恐怖とパニック状態は2時間以上知覚剥奪の環境に入れられたなら誰でも経験することが確認された。心理学の研究から明らかなように、すぐに殺されると感じている人はだれでも精神的混乱を引き起こすに十分である。長期にわたるこのような実験の結果は、戦争神経症や現代の言葉でいう急性神経ストレスシンドローム等と比較して、外傷性神経症である。

  我々はこのような方法は、だれか個人の特別な情報を引き出すためではなく、より多くの人々を脅すために計画されたものであることを知る。それらは改善できるものであり、他人に教えられるものである。上で議論した英国の技術とCIAの人的資源教育マニュアルとの類似は著しい。CIAマニュアルは、激しい恐れ、極度の疲労、孤独な監禁、耐えられない心配、長期の起立状態、睡眠・食物の剥奪、裸に晒すこと、窓のない部屋に入れる、トイレのない暗い尋問室の使用を論じている。1997年1月にCIAは形式的にこのような
拷問マニュアルの使用を放棄し、職員による使用もやめさせた。その間、この方法の多くが1994年5月設立されたパレスティナ解放軍等で発見されてきた。

  ある尋問技術は殺すことを目的としている。例えば、カシミールでは抑留者の手足を砕くために重い木のローラーが使用されている。この刑は筋肉ヘモグロビン、血液色素、他の関係する筋肉たんぱく質や急激な肝臓障害を引き起こす毒素を放出する。腎臓透析なしでは致命的な結果となる。他の政体は反体制派にゆっくりと効果の現われる毒薬を使用し、監禁から開放された後死ぬよう謀った。例えばイラクにおけるクルード民族に対するタリウムの使用、そしてより最近では南アフリカの白豪主義政権によるものがあった。

拷問ライブウェアー(拷問プログラマー)

  抑圧的ないかなる政体においても、そのシステムを働かせるために全職員に対する理論的な教育を必要とする。この訓練においてジョージアのフォート・ベニングを基地とした不名誉な「アメリカス学校」が設立された。他には「暗殺学校」が知られている。また「バタリオン」のようにグアテマラやホンデュラスの殺人訓練部隊が非難されている。1995年6月11日付ボルティモア・サン紙によると、情報公開法によって「バタリオン」に関する書類を発見した。それはホンデュラスの囚人に電気ショックと生ゴム窒息装置が使われたという内容のものであった。そしてそれはCIAの尋問技術として訓練されたものと確認された。昨年さらなるマニュアルとしてプロジェクトXに関するものが情報公開法の下公にされた。合衆国諜報活動援助プログラムの一環として、1980年代まで合衆国軍はラテンアメリカや他の国で諜報訓練を行ない、それは逮捕を容易にし、叛乱兵を殺し、暴動を起こす心配のない反体制派・誘拐犯の家族をスパイし、望まない情報提供者を脅し、尋問を容易にするために薬を用いることなどであった。プロジェクトXマニュアルは合衆国陸軍学校で配布された。しかしその使用は1991年に止められた。それは国防省が倫理的法的疑問を提起したからである。
   このように人権侵害を組織的に訓練する組織の設立は外部的ライブウェアーに含まれる。例えば様々な国への技術的アドバイザー、叛乱や戦争以外の闘争戦術、準軍事的な情報治安警察がある。過去の10年でこのような治安訓練の輸出は非常に利益のあり商業ベースに登ってきた。そして著しい民営化が拷問技術関連の貿易の特色となっている。そのような技術は今やアメリカからヨーロッパに入ってきているのである。

バイダ−マンの強制図

方法

効果(目的)

種類

1.孤立

犠牲者から抵抗するためのすべての社会的支持を奪う。
自分に対する関心を高める。
犠牲者を尋問者に依存するようにする。完全にひとりでの監禁

完璧な孤立
半孤立
グループでの孤立

2.知覚の独占化

緊急な苦境への注意の集中。
内省を強いる。
逮捕者によってコントロールされた他者との競争刺激の剥奪。
追従以外の全活動を挫折させる。

物理的孤立
暗室あるいは輝く光
不毛な環境
制限された活動
退屈な食べ物

3.衰弱疲労の誘発

抵抗するための精神的肉体的能力を弱める。

半餓飢
晒す
侮辱の開発
病気の誘発
睡眠剥奪
束縛の長期化
尋問の長期化
書くことの強制
限度を越えた努力

4.脅し

心配と絶望の増幅。

死への脅し
戻れない脅し
終わりのない尋問と孤立への脅し
家族への脅し
はっきりしない脅し
扱いの奇妙な変化

5.時々の耽溺

追従のための積極的動機を与える。
剥奪への適応を妨げる。

時々の親切
尋問者の態度の変化
約束
部分的追従への報酬
じれったがらせる

6.全能の誇示

抵抗の無益の助言

衝突
協力を装う
犠牲者の運命への完全コントロールの誇示

7.自尊心を傷つける

黙従よりも自己尊重を傷つけ抵抗が高いものにつくようにする。
動物レベルのものへと囚人を格下げする。

個人的衛生を妨げる
不潔で荒れた環境
品位を落とす罰
軽蔑とあざけり
プライバシーの否定

8.ささいな要求を強める

追従の習慣の開発

書くことを強いる
細かい規則を強いる


拘留者に使用される先尋問の扱い

1. 警棒と握りこぶしに付ける帯状金具による通常の襲撃。睾丸や胃への蹴り。顔の平手で打ち。耳の殴打。腕のよじり。胸毛の 引っ張り。鼻、胸、口、喉を開ける。このような襲撃の間抑留者は脅され催促された。

  2. 打たれながら割れたガラスや石の上を裸足で走ることを強いられた。

  3. 何人かは地上近くで停止しているヘリコプターから目隠しされて落とされた。

  4. アルサティアン犬が噛み付くために使われた。

  5. 拷問の繰り返しが48時間続けられた。

  6. 腰に手を置き長時間壁に向かって立つことを強いられた。

  7. 拘留者は眠気を催すたびに起こされた。

  8. 食べ物も飲み物も与えられないでおかれた。

  9. バックが6日間囚人の頭の上に置かれた。

10. 時々家畜用電気棒が使われた。

11. ある拘留者は睾丸を定期的に圧縮された。

12. マッチとロウソクで焼かれた。

13. 排尿させられた。

14. アンフェタミン薬の注射が何人かの囚人に与えられた。

15.心理的拷問が使われた。例えばロシアンルーレット、目隠し、攻撃者によるストッキングと外科用マスクの使用、小さな個室で穴が開いた壁を凝視など。

感覚剥奪をするために北アイルランドで英国陸軍によって使われた技術

1. 囚人は尋問の前に目隠しされる。

2. 音響装置がシューという音を出すために使われる。

3. 指先だけ壁に触れて、しかも足を開いて爪先立ちした状態で壁にもたれることを強いられる。

4. 僅かの食物と飲み物

5. 囚人はサイズ大きいゆるい服を着せられる

6. 一日中睡眠を妨げられる

効果

これらの方法は感覚剥奪とは同一ではないが、同様の効果を期待している。
1,2,3,5,は視覚、聴覚、触覚、運動感覚の剥奪に結果し、またにせの感覚的剥奪に結果する。1,4,6は通常の機能に必要な脳の糖分と酸素の剥奪である。1,4,6は普通の体の新陳代謝を妨げる。高い精神的肉体的ストレスの状態に落とし込むことによる急激な神経破壊に効果がある。