技術資料(海外)


音響スポットライトのなかで
(水中音波探知技術によって拡声器で焦点を合わせた音のビームを送ることが可能となった)


出典:『Scientific American』1998 年10月号
著者:David Schneider
翻訳:石橋輝勝


狭いビームで音を発射できることを想像しなさい。公共呼びかけシステムは予定する受領者にメッセージを狙い撃ちできるであろう。店頭から工場で働く特定の人に他を妨げることなく呼び出すことができたり、博物館の館長が展示品の前に立つ見学者に説明することができるように。そして特別な効果としてより確信できることは高い指向性のある拡声器である。それは部屋のどこからでも音がくる音響スポットライトによって光明を投ぜられたものである。ぞっとするようであるがこのスリルは遠いものではないかもしれない。

この方法での音の発生に長く立ちはだかった困難は基礎物理から生じていた。典型的なものとしてビームの角度は放射の波長と発生源の隙間との比で決定されていた。可聴音で照準を定めたビームを発射する場合、数メーターの波長であるべきであり、通常ビルディングの大きさの拡声器を要求する。

しかし音響技師はだいぶ前からこの困難を回避する方法を知っていた。1960年代初めから彼らは目的の波長より小さな幅の特別な変換機の配列を使うことによって一つの方向に低周波音を発する(探知する)ことができるようになっていた。水中音波探知システムのために開発されたパラメトリック配列は水中で音を送るときの微妙な非線型を利用している。丁度拡声器が線形反応の範囲を超えて強く発せられた場合音をゆがめるように水もまた高強度音波をゆがめるのである。問題であるというよりも、この非線型性は水中音波探知技師に水自体に高い周波数から低周波音波を発生させる方法を提供したのである。

(本質的に、水は無線受信機における探知回路を真似る。それは高い周波数の変調した搬送波を可聴シグナルに変換するため非線型性を利用している。)その小さな波長のために超音波搬送はしまったビームを物理的に小さな源から送ることができるのである。

10年間音響専門家はそのようなパラメトリック配列が非線型を宣告されていない空気中でも働くかいなか議論してきた。オースチンにあるテキサス大学のメアリー・べス・ベネットとデイビット・ブラックストック両名がこの議論に終止符を打った。彼らは超音波を使って大気中で可聴音を発生させた。1980年代初期には、リコー、日本コロンビア所属の米山正秀あるいはその同僚が超音波変換機の小さくまとまっ配列を使うことによって音をしまったビームに導くために同様の技術を使った。日本人グループは十分強力な超音波音を発し、また正しく搬送波を変調することに関わる難題に取り組み、可聴信号がそれほどゆがめられない結果を得たようである。しかしながら大気中に音を送るパラメトリック配列の適用は、ノースウエスタン大学の技術学生ジョセフ・ポンヘイとサンディエゴにあるアメリカン・テクノロジー・コーポレイションの発明家エルウッド・ノリスがその問題を個別に修繕し始めた二年前までにしぼんでしまったのである。

ポンペイは当初拡声器メーカーであるボウズ社に勤務し、シカゴのさまざまなクラブでフルートとギターの演奏をしていた。彼の音楽の趣味と音響技師とがマッチし、昨年マサチューセッツ技術協会メディア実験室に移り、大気中のパラメトリック配列を完成させた。ピエゾ電圧要素でつくられた初期の配列と違い、ひずみを小さくする広い振幅の静電気変換機を採用した。彼は最近この装置をジョン・コルスタンスのサックスフォン独奏を部屋中にビームすることによつて公開実験した。彼は「確かに皆さんお気付きのように拡声器ほどの音質ではありませんが」と認めた。しかし彼は200メートルほどの距離から三次元幅のビームを発射できると発言した。

ノリスとアメリカン・テクノロジー・コーポレイションはまた大気中でパラメトリック配列を使う実験を遂行してきた。ポンペイのようにノリスのシステムは歪みの問題と特に低周波での歪みの問題を抱えていた。しかしノリスは、同僚と過去数週間使用したピエゾ電圧変換機はその問題を克服するに十分な振幅をもっていた。「突然に我々は音楽を奏でることができる。」と主張する。ノリスとポンペイの競争は激しさを増すであろう。

第十一回電磁波悪用被害者の会資料 (1999年3月28日)