技術資料(海外)


「何もないところから音が聞こえる」


出典:英国の科学誌『New Scientist』’96年9月7日号p22より
著者:Gary Eastwood
翻訳:石橋輝勝


「魔法のように何もないところから音を生じさせる音響システムは従来型音響技術に取って代わることができる」とその開発者は語る。そのシステムでは従来のようなスピーカーをもたない。その代わりに空中で音響ホログラムあるいは干渉パーターンを生じさせるために超音波を使う。改良された音響システム同様その技術は群集コントロールへの適用が可能である。またそのシステムは一時的に人を不能とできるような強力な低周波音波を特定の個人に対して狙い撃ちするために使うこともできるのである。

  カリフォルニアのポウェイにあるアメリカン・テクノロジー・コーポレーションはエルウッド・ノリス主任技師の発明による試作品を完成させた。そして今月それを合衆国内で発表し、年内に第一号を発売する予定である。

  そのシステムは相異する周波数の二つの超音波を発生させる。両音とも周波数が高過ぎ人の耳では聞くことができないのであるが、両音波が重なり合うか干渉し合うと聞くことができる音を発生させる。その効果は聴覚ヘテロダイニング効果と呼ばれ、タルティーニと呼ばれる現象を基礎としている。18世紀のイタリアの作曲家グイセッペ・タルティーニは「二つの相異する周波数の音波の干渉は、例えば二つのオルガン・パイプの音色は、その両者とは異なる周波数の第三の音を発生させる」と記している。聴覚ヘテロダイニングは超音波でも発生するのである。200キロヘルツや201キロヘルツの人間の聴取能力を超えた超音波は1キロヘルツの聞くことができる音を発生させるのである。

  試作品の超音波は圧電結晶あるいは変圧器によって生じさせる。結晶に適用される振動電圧は拡声器と同様の方法でそれを振動させる。一つの結晶は100キロヘルツの定められた信号を発生させる。第二は100キロヘルツから120キロヘルツの間を変化する。これが0から20キロヘルツの別の音色を生み、それは人が十分聞くことができるものである。

  「感覚はまったくびっくりするようなものである」とノリスは言う。「もしあなたが音を壁に向けるなら部屋の中の聴衆は同じ音発生源に向くであろう。あなたは部屋の中心へ音を移動でき、また聴衆の頭の上へも移動できる。」

  「そのシステムはスピーカーが原因する通常の歪みを削除し間接的に音を生じさせるでしょう」とノリスは言う。彼はそのシステムが電話や補聴器の改良に、そして映画の音響方法に新趣向を加えることができるとした。例としてはジェット機が頭上で交差するような可動性音源がある。

  「それが働かない理由は存在しない」とサセックスB&Wの研究責任者ピーター・フレイヤーは言う。「しかし高周波はあまりにも高すぎるので、空気に吸収され長距離の伝達は不可能かもしれない。まずは論より証拠である。」

  このシステムは群集操作にも利用できるかもしれない。強力な低周波音は方向感覚の喪失、吐き気の原因となるものである。1960年代に合衆国はベトナムのジャングルで敵兵士を無能化するためにヘリコプターから低周波音を使ったがそれは失敗した。

必要とされた音源があまりにも強力なものであったため、ヘリコプターを揺り動かしてしまい、しかもほとんどは拡声器の近くの者に吸収されてしまった。ノリスによると聴覚ヘテロダイニングは干渉範囲を正しく位置づけことによって200・300メーター離れた人にピン・ポイントで狙い定めることができるとした。

第10回電磁波悪用被害者の会資料 1999年1月31日